高橋勝浩
ダイヤモンド社
2007年5月
こんにちは。キアです。
最近、私の会社で「営業の一般社員が仕事上で持っている課題を他部署の
管理職とをディスカッションする」という研修が始まり、
その研修の中で、私が持っていた課題に対して、推薦されたのが本書
「ソリューション営業の基本戦略」です。
私に本書を進めた方の部署では、会社経費で本書を買って一人一人に
読ませていた、とのことです。
本書の前書きには、「落ちこぼれ営業マン」であったことに悩んでいた著者が、
自分なりに工夫し、体で覚え成果を上げるようになった結果として気づいたことである、
「営業力は才能ではなく、経験を通じての判断と行動の積み重ねでつくられるものである」
という言葉が書かれています。
ですが、「才能ではない」とは言っても、「経験を通じての積み重ね」で何を
積み重ねるのかは、指針なしに行うにはやはり才能によって左右されてしまう
ものではないかと思います。
リクルートで営業研修事業の立ち上げを行っていた著者は、アメリカの営業
研修を研究し、
「自分が体や感覚で何となく積み上げてきたものが、営業スキルや営業戦略と
して整理され、誰にでも実践しやすいものになっていた」ことに
驚いたのだそうです。
本書は、著者がアメリカで驚いたことのように、特別な才能を持っているわけ
ではない平均的な営業担当者でも理解し、指針として取り組めるように、
多くのトップセールスの発想やノウハウ・経験則を一般化した本です。
本書の構成は、
第1章、2章:問題解決型営業(ソリューション営業)の背景
第3章〜5章:お客様に提案する中身の作り方
第6章〜9章:ソリューション営業の進め方
第10章〜第13章:問題とリスクの進め方
第14章:組織的なソリューション営業の推進に必要なこと
となっています。
その中で特に私の印象に残ったのは第12章の「パイプラインで管理せよ」です。
私が本書を推薦されたのは、私が「目の前に迫った仕事に集中してしまい、
それ以外が見えなくなってしまう」という課題を持っていたからです。
その課題に対して、本書では、目の前の商談だけに集中してしまうと、
新しい商談を探すことに時間をかけなくなり、業績の落ち込む幅が大きく
なってしまうこと、それを防ぐ方法として「パイプライン管理」があると
いうことが書かれています。
化学工場などで、原料から最終製品に生成していく装置にパイプラインと
いうものがあり、パイプラインでは途中で不純物が取り除かれ、最後に
精製されたものが出てきます。
商談においても、ある一定の受注を得るには、目の前の受注・納品活動を
しながらもパイプラインに絶えず原料を仕込む=3ヶ月後、半年後に
受注になる商談のネタを探索すること、パイプラインで不純物を取り除くように、
見込みのない案件に見切りを付ける、そんな「パイプライン管理」が
必要なのだそうです。
上に書いた課題の「目の前の仕事に集中してしまう」理由は、「あまりにも
目の前の仕事が忙しすぎるから」なので、「絶えず原料を仕込む」ことは
そう簡単ではないと思いますが、このようなパイプライン管理の考え方を
常に頭に置いておくことは重要だと感じました。
本書の各章の章末には「まとめ」と「チェック項目」があります。
例えば、私が印象に残った12章のチェック項目は
「自分の商談がアプローチから受注までどのくらいの期間がかかるか、把握している」
「案件が1件クロージングになったら、5件の新規案件を探索するようにしている」
「来期、再来期の案件の"種をまく"動きをしている」
などです。
今の自分がどうか、そして読んだ後にどう変わっていくかをチェックを
していくことで、本書にまとめられた営業スキルや営業戦略を実践できるように
なっていけるようになるのではないかと思います。
◆目次
第1章 ターゲットを定める
第2章 お客さまは、提案営業を求めている
第3章 お客さまの真の問題を把握する
第4章 「仮説」を持って商談を進める
第5章 提案するための「コンセプト」を考える
第6章 本当に会うべき商談相手は誰なのか
第7章 お客さまの購買プロセスを把握する
第8章 商談のシナリオを描く
第9章 危険シグナルを把握する
第10章 キーパーソンにアプローチする
第11章 商談をサポートしてくれる人たち
第12章 業績の乱高下を防ぐ
第13章 チーム営業を展開する
第14章 組織としてパートナーシップを築くために
- 2011年5月 2日 (月)
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