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Vol.092 『マエストロ、それはムリですよ・・・』

「マエストロ、それは、ムリですよ・・・」 -飯森範親と山形交響楽団の挑戦-.jpg『マエストロ、それはムリですよ・・・』
飯森範親と山形交響楽団の挑戦

飯森範親(監修) 松井信幸(取材構成)

ヤマハミュージックメディア

2009年6月

 

みなさん、こんにちは。松山真之助です。お元気ですか?
今日ご紹介するのは、とある地方交響楽団のすごい変貌の物語です。

<この本の響き>

「最近の山響が面白い」そんな噂がここ数年クラシックファンの間で広がって
いたようです。山響とは山形交響楽団のこと。地方の一オーケストラに過ぎな
かった山響が、画期的に変貌したのは、2004年に飯森さんが常任指揮者に
就任してからでした。

それまでは、楽団の高い音楽性にもかかわらず、集客も経営もぎりぎりの状況
で、よくある地方オーケストラの悲哀と苦悩がただよっていたのです。
しかし、新進気鋭の指揮者、飯森さんの着任後、とんでもない変貌を遂げてい
ったのでした。

本書は、松井信幸さんの取材記事の形で、山響の変貌ぶりを紹介するドキュメ
ンタリーです。オーケストラの話だから音楽好き向けの本かというと、そうで
もありません。ビジネスや生き方にも通じる様々なヒントが隠されています。

楽団員を大切にし、感謝の気持ちでいつも接する飯森さんは、熱い信頼の絆で
結ばれていきます。飯森さんは、コンサートが終わった後、舞台のそで口で楽
団員たちを「お疲れ様でした」と出迎えるそうです。指揮者も重労働で、本番
が終われば、さっさと楽屋に引き上げて、燕尾服を脱ぎ、汗だくになったシャ
ツを着替えたいところですが、そうはしないで、最後の楽団員が引きあげてく
るまで立ち続けているのです。

「音楽家はサービス業である」そんなことを大っぴらに掲げる飯森さんは、次
々と新しい試みを実行していきます。プレトーク(プレ・コンサート・トーク)
というのもその一つです。コンサートが始まる前に、指揮者が観客にその日の
演目のエピソードや曲のポイントなどをユーモアを交えて話すのです。非常に
好評だといいます。

「今は、山形の"東国原"って言われてます(笑)」というくらい、山形や山
響のPRにも奔走する飯森さん。そんな飯森さんを見事に言い表しているのは
山響ファンクラブ「YFC」会長の加藤さんの言葉です。

高い音楽性、明確なビジョン、優れた統率力、類い希なカリスマ性に
加えて、抜群の金銭感覚と経営能力・・・

後段にある私的インタービューでは、ご両親から受けた「人の悪口はいわない
こと、感謝の気持ちで接すること」なども、読み応え十分でしょう。

爽やかな気持ちになれるお勧め本です。


<僕の共振>

映画「おくりびと」をご覧になった方は多いことでしょう。実はその中に山響
と指揮者飯森さんが登場します。

そのシーンは、最初台本にはなかったのですが、映画の滝田監督がどうしても
オーケストラの演奏シーンが必要だということで、急遽、撮影の話が舞い込み
ます。山響・事務局の斉藤さんは、「つぶれるオーケストラ」や「納棺士」と
いった暗いイメージから断るつもりだったそうです。

しかし、指揮者の飯森さんは"ぜひやるべき"と主張。さらに、その指揮を自
らかって出ることに・・・。のちにアカデミー賞につながるなどとは知る由も
ない段階でです。

機を見て、飯森さんが動いたのは、滝田監督の「壬生義士伝」に強いシンパシ
ーを感じていたからでした。さまざまなものが横糸縦糸となって繋がっている
のが不思議ですね。

すべては、よきこと。感謝の気持ちで物事に対峙する生き方は、とても爽やか
で美しいものがあります。

本書を読んで、思わず山形に行ってみたくなりました。
山形新幹線で斉藤泉さんに会えるかもしれないし・・・・。
http://bit.ly/yamagatasinkansen

しらないうちに山形ファンになっちゃったなぁ。


<オススメ度>

★★★★★+本気と共感

 

◆目次

第1章 飯森範親と山響の出会い
第2章 新しいボスがやってきた
第3章 しなやかな発想と大胆な行動
第4章 もっと山響が聴きたい
第5章 飯森範親"極私的"インタビュー

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