- 2010年3月16日 (火)
- 書評メールマガジンバックナンバー
手塚利男(著)/ナナ・コーポレート・コミュニケーション
(2009/3)
今回ご紹介するのは手塚利男著「ギスギスした職場はなぜ変わらないのか」です。
本書の中表紙には会社のビルを乗せた御神輿を、暗い顔をして担いでいる人々の絵です。
「どうせ言ってもムダ」「他人(他部署)の仕事に口出しすべきでない」「やっている
フリをしておこう」「仕事の仕方は上が決めるもの。下が何を言っても始まらない。」
「頑張っているのは俺だけ」と、彼らの気持ちがふきだしの中に書かれています。
絵の上に大きな文字で書かれているのは「こんな職場を変えよう!」という言葉です。
職場の「ギスギス」問題について書かれた本と言えば、去年ベストセラーになった
『不機嫌な職場』があります。
『不機嫌な職場』には、ギスギスした職場の例が、多数書かれ、そのひとつひとつに
「そうそうそう!!!」と切ないくらいに共感してしまう本でした。
ですが、『不機嫌な職場』は、ギスギスした職場の原因分析についてはよく書かれているの
に対して、最終章のギスギスした職場を変えるための方法については、経営者や上位の管理
職でないと実践は難しいのではないか、と感じました。
それに対して、本書「ギスギスした職場はなぜ変わらないのか」は、サブタイトルに
「たった一人からでも始められる『職場活性化』の方法」とあるように、経営者や管
理職に限定されない社員の個人レベルでの職場改革の「方法」について書かれています。
そのために、社員に共通するものの考え方や、行動パターンなどを表す「価値観」である、
会社の「風土」を変えよう、ということで、本書の第3章には、風土改革のための
「七つのフレームワーク」が挙げられてます。
■「カベ」を低くする
「言ってもムダ」「弱みは見せられない」といった「心のカベ」に気づき、その
気持ちを解きほぐす
■「情報」の流れと中身を変える
情報交換の場を作る、「上から下へ」「下から上へ」しか流れなかった情報を、
「縦、横、斜め」とあらゆる角度から交錯するようにする
■人の「見方」を変える
他人に対して貼っているレッテル、自分に貼られたレッテルをはがす
■思いをネットワークで「共有」する
最初に二割の人と思いを共有し、それを六割の人に共感・共鳴してもらえるよう
にする、共有仲間をネットワーク化する
■やり取りの「方向」を変える
メールで一方的な指示ではなく、できるだけ「口頭」で指示をし、その際に「質問」を
受け付けるようにする
■「制約条件」を疑ってみる
制約条件を「本当に必要なのか、便利なのか」「業務に差し支えるのではないか」と
いった視点で見直す。個人レベルでの変化からスタートさせる。
■「個」の主体性を高める
「上からの支持は絶対」とむやみに受け入れるのではなく、上司は部下に主体性を
持たせることを意識し、部下は自分の頭で考えることを意識する。
第4章の「ギスギスした職場がこうして変わった!」は、4社での風土改革の事例と
なっています。事例として取り上げられているのは、「いすゞ自動車」、大手精密
メーカーA社、計測機器メーカーB、大手製造メーカーC社です。
事例となっている会社が、ベンチャー企業でなく、いわゆる「日本的な会社」です。
ベンチャー企業を例にされると、「あそこは特殊な会社だから...」という先入観で
読んでしまいますが、本書ではそうでない分、3章で挙げられた七つのフレームワークの
理論のイメージを具体化させやすくなっています。
第5章「風土改革が成功する『秘訣』とは?」はまとめの章となっています。
この章では、
■風土改革とは、「人の気持ちを動かす」こと、そのためには、まずは
「自分が変わること」そして、自分が変わったことによって「周囲の人が変わる」と
いうシンプルな方法によって成り立っている
■「七つのフレームワーク」で自らが行動し、他の人をマネジメントでいる「変革型
人材」を再生産できた企業が、風土改革に成功している。
■「議論する場」がないと改善の気づきも生まれない
■「立場が弱い人」ほど問題の本質を実感しやすい
などのことがまとめとして書かれています。
最後の第6章は「職場が活性化する『すごい仕掛け』」です。
風土改革のゴールとして
■職場に「対話」が溢れている
■「オフサイト・ミーティング」(特に議題を論じるわけでもなく、近況報告をしたり、
今、取り組んでいる仕事のことを話したりするミーティング)が気軽に行われるよう
になる
■会議で「議論」がされるようになる
を提案し、そのゴールを目指して個人レベルでスタートできる31の方法が、
土壌作り・種まき期・育成期の3つのステップに分けて紹介されています。
読み終わった時には、自分にも何かができるのではないか、と思わされる本でした。
キア
◆目次
第1章 なぜ、職場がギスギスしているのか?
第2章 ギスギスした職場が変わらない「本当の理由」
第3章 誰でもできる!風土改革「七つのフレームワーク」
第4章 実例 ギスギスした職場がこうして変わった!
第5章 風土改革が成功する「秘訣」とは?
第6章 保存版 職場が活性化する「すごい仕掛け」
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