- 2010年3月 8日 (月)
- 書評メールマガジンバックナンバー
『もえビジ』- 会計RPG 密室の女子大生会計士 -(角川書店)
藤原萌実 (著) 山田真哉(監修)
2008/11
みなさん、こんにちは。松山真之助です。
またまた山田さんにはやられました。会計本の新たな地平を切り開く、ユニー クな本が誕生しました。会計RPG(ロールプレイングゲーム)です。 しかも、なんと著者は架空の人物(女子大生会計士の萌ちゃん)なのです!
プロローグで張られた伏線、いきなり舞台にあげられる本篇、そして種明かし というすばらしい構図に、読者は、引き込まれるように読み進むことになるで しょう。夜遅く帰宅して、ふとページをめくったのが大失敗。やめられなくな ってしまったのです・・・。(笑)
なにしろ、ページをめくる楽しさを存分に味わえる工夫が、随所に凝らされて いるのです。(おそらく、山田さんも、本書を作るときは楽しくて仕方がなか ったことでしょう)
会計の入門書とはいえ、その本質に迫る質問と答えは、読み手に爽やかな感動 を伴って納得感を与えてくれます。そうだったのか!と。
本書の背後にある意図は、「会計の知識ではなく智恵をつけよう、ビジネスな んて知識じゃなくて考え方のほうが重要なんだから・・・」ということです。
本書で得られる、「目からウロコの会計センス」は、たとえば・・・
会計とは、記録して集計して分析すること。(仕組み力)
経営は、目先ではなく、未来の売上を考える(経営力)
売上は、史上最強の資金調達手段。(経営力)
過去の出費は、未来の判断材料に入れない。
過去の出費を埋没原価という。(視点力)
毎月の出費は12倍(1年分)、60倍(5年分)するクセを。(計算力)
あらゆる経済活動はインフラがあってはじめて成立する。(構造力)
会計で大事になのは、未来の立場で損得を考える未来視点(想像力)
などです。
さらに、萌実の「格言っチャオ」にも見逃せないフレーズがあります。例えば
「稼ぐこと」と「やりたいこと」を足したのが「働く」っていう意味よ。
ポイントを2つに絞るのが今の流行よ。(3つじゃ、長い~)
などなど。比較的薄い本でありながら、なかなか奥が深いのであります。
さて、物語のステージはこんな感じです:
ビジネスパーソンのためのワンポイント会計講座
~これであなたも会計が好きになる~
を担当することになった藤原萌実ちゃん。会計士研修中の身という立場上
先輩のいうことを聞かざるをえない。先輩から押しつけられた面白みのな
い会計資料で講義に立つことになる。
一日研修の終盤、休憩のあとに戻った大教室で異変がおきる。 真っ暗な教室に、藤原萌実ちゃんが閉じ込められてしまうのだ。 そこでは、見えない何者かに11の質問を受けることになる。 答えられないと出られない、しかも人質に取られたカッキーと生徒たちが 危ないというという恐ろしい状況に・・・陥る。
ここから会計的でありながら、実に面白い質問が押し寄せてくる。
たとえば
汝に問う。カラスの被害で困っている町がある。どちらの薬を
開発すべきか? 予算上、どちらか一方しか開発はできない。
1)カラスが死んでしまう薬
2)カラスが近寄らない薬
などなど。
最後のフィナーレは、もう「まいりました!」です。 どんな結末がまっているか、ぜひ、皆さんもお試しください。
山田さんの生み出した女子大生会計士、藤原萌実が、著者としてリアルな世界 に躍り出る、とてもユニークな本。さらに、ページをめくる楽しみと面白さを 工夫したRPG方式のとっても面白い本です。
お勧め度は、★★★★★+犯人はおまえだ! です。
◆目次
プロローグ
STAGE 1 「汝はこれから我が出す問いに答え続けるか?」
STAGE 2 不要なレシートを入れる箱
STAGE 3 カラスの被害で困っている町
STAGE 4 よくおごるAさん、よくおごられるBさん
STAGE 5 完成してもほとんど使われない道路
STAGE 6 会社を大きくしたいとき
STAGE 7 1瓶400円で買った酒を割った
STAGE 8 増えなかった給料
STAGE 9 1円を笑う者は1円に泣く
STAGE 10 スーツ2着目は1000円
STAGE 11 万引き対策
STAGE 12 汝は我の正体を如何に思う?
あとがき
解説
萌実の格言っチャオ!ちょいムズなおまけ















